セッション概要
高速道路で日常的に使われているETC(電子料金収受システム)──その背後では5.8GHz帯の短距離無線(DSRC)による、地上局と車載器との間の高速通信が行われています。本発表では、市販のソフトウェア無線機HackRF Oneを用いて、このETC通信を実際に車内で受信・記録し、後日オフラインで解析した一連の試行錯誤を紹介します。
前半では、狭帯域で瞬間的に発生する通信をいかに安定して受信するか、実車フィールドワークでのアンテナ選定・ノイズ対策・増幅器の工夫など、測定環境の構築技術について共有します。後半では、GNU RadioとPython、Goによる復調・デコード処理の実装を通して、マンチェスタ符号化、プリアンブル検出、pcap形式でのデータ保存、そしてWiresharkによる可視化までのフローを詳解します。
ETC通信は公開された標準に基づいて動作していますが、実地での解析や可視化の事例はまだ多くありません。本発表では、DSRCの構造的な特徴や簡易秘話と呼ばれる軽度なスクランブル処理の扱い、実測データの取り扱いにおける工夫や気づきを共有し、無線通信を対象とする技術的な観察例の一つとして紹介します。
講師
江草陽太
セッション情報
- 担当:
- 北海道情報セキュリティ勉強会 (せきゅぽろ)
- 対象者:
- セキュリティに興味のあるITエンジニア
- 前提知識:
- セキュリティに関心のある方
- カテゴリー:
- セキュリティ